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大阪地方裁判所 昭和40年(ワ)1436号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(5) 右の(1)ないし(4)で認定した事実を要約説明すると、次のとおりである。

(イ) 被告らは、被告西本らについてはその先代西本鉄之助時代を加え、また被告中村らはその先代の時代において、本件各家賃増額請求がなされた昭和三一年七月二〇日において過去三八年の長期間にわたつて、原告先代および原告から本件(一)および(二)の各家屋をそれぞれ賃借しており、その間右各賃借人らにおいてはその家賃の支払を一度も怠つたことはなく、また台風、戦争のほか長年月の経過による賃借家屋の損耗が予想されるけれども、これらの修理もすべて賃借人らにおいて自らその費用を出捐してこれをしていること。

(ロ) 本件各家賃増額請求を受けた際において、その相当増額家賃決定の前提となる事業用床面積部分が二三平方メートルを超えるかどうかについて問題があるばかりか、超えたとしてもその直前まで統制家賃を支払つていた本件の場合、はたしてその増額された最初の家賃は幾何が相当であるべきかは、前記認定のとおり甚だ決定困難なものがあるうえ、本件においては、昭和三四年において、本件各催告にある家賃不払期間のうち昭和三一年七月二一日から同月末日までの分を除くその後の同三四年八月末日までの分については、原告から本件各賃借人を相手どつてその増額家賃確認等請求訴訟が提起されて係争中であつたこと、

(ハ) 本件各催告およびこれに続く本件賃貸借解除の意思表示は、右裁判の第一審判決もいまだ言渡されていない時期においてなされ、かつ右各催告においては具体的な請求金額を明示しておらず、これを、右各催告がなされた時から七年を遡る前になされた本件増額家賃明示通知によるかまたは当時係争中の右裁判の請求の基礎として示された月額各金一〇、〇〇〇円によつて算出することを求めていると解するとしても、それは本件増額相当家賃額から月額で金三、〇〇〇円、総額で約一一二、〇〇〇円多い超過催告となること

(ニ) 被告西本らおよび被告中村ら先代においては、原告の右各催告にある期間の各家賃について、従前の統制家賃相当の金員をそれぞれ原告の受領拒否のため弁済供託したのち原告の求めによりこれを受戻して原告に支払つており、その金額は本件増額相当家賃額に比して総額で約一五〇、〇〇〇円少いものであり、その差は必ずしも僅少とはいえないこと

(ホ) 被告西本らおよび被告中村ら先代は、右支払後も引続き右統制家賃相当の金員を弁済供託していたが、昭和三七年九月分以降はいずれも月額金七、〇〇〇円に増額されており、その後一年余を経た同三八年一二月にいたつて本件各催告がその翌年一月にいたつて本件各賃貸借解除の意思表示がなされ、その後の同四〇年三月六日右裁判において右供託額と等しい金額である本件増額相当家賃を是とする第一審判決の言渡がなされたこと

(6) したがつて、右認定した事情のもとにおいては、被告西本らおよび被告中村ら先代のした各支払金額と本件増額相当家賃額との差は必ずしも僅少でないけれども、なおその右各家賃の不払を理由とする原告の本件各賃貸借解除の意思表示は権利の濫用であつて許されない。(富田善哉)

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